あらすじ_13_02


一年のうち数えるほどの回数着るだけの軍の制服を着て、理沙はワシントンに出張した。理沙の大佐への昇格に伴う辞令交付のためである。
昇格は事業団でのプロジェクト完遂による功績を認められた事によるもので、出向者がここまでの立場になったのは前例がない。
過去に軍で直接に指揮命令にかかわった期間は、レーダー基地勤務の短い期間であったものの、その後の事業団でのリーダー経験、
さらには木星資源開発プロジェクト参画により会得した、数々の技術スキルは、今後軍の中で十分に活用できるものだった。
部隊輸送を担当する大佐からの推薦で、理沙は兵員輸送のための新しい揚陸艦デザインのタスクに参画することになり、
当面は彼の指揮のもとで技術アドバイザーとして働くことになるのだが、いずれは自分の立場を継いでもらいたいとの彼の思いもあった。
さらには、タスクメンバーの組閣を通した軍の技術力の底上げ、協力会社を管理する能力の向上。課題は山ほどあった。
一時は引退も考えていた理沙だったが、部下の教育に使命感を感じていた。やがて暑い夏となり、その知らせは突然にやってきた。



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