あらすじ_13_04


メンタル女の死を理沙自身が受け止めることがないままに、物事は淡々と進んでいた。タイタンの基地から届いた続報では、
今回の事故による死者は8名、すべてのケースが自分の部屋の中で就寝中に亡くなったもので、8名すべて健康上の問題は全くなく、
司法解剖中のため確定した原因は判明していないが、病的な要因はまず排除された。眠ったまま突然に襲った死としか表現できず、
メンタル女が苦しまずに死んだということだけが理沙の気持ちに慰めとなった。世間から知られることなく事故調査タスクが組閣され、
先日の会議で事故の状況報告を行った、システム解析担当者がリーダーとなることが決まり、理沙も参加を要請された。
事業団での短い期間ではあるが、メンタル女と一緒に次世代システムのプロトタイプ設計に参画していたということが理由である。
あわただしく出発の準備をすることになり、自宅は孫娘に自由に使ってもらうことにした。土星への所要時間は木星の倍の4か月間。
しかも、調査はいつ終わるかもわからない。今までの木星出張と違い、気分の高揚感は全くなかった。



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