あらすじ_13_12


死体を搬送する作業員は、非常に手際はよかったがはた目には機械的な対応にしか見えなかった。作業員から少し離れた場所で
何気なく会話を聞いていた理沙は、彼らの会話の中に自分たちがタイタンの僻地に強制移住させられた不満のようなものを感じ取った。
日々の生活は保障され、とにかく決められた職務をこなしてさえいればいい。ただひとつ厳守すべき事としては、生体モニターを肌身離さない事。
小さなインターフェイスを皮膚の下に埋め込むこと。それだけの事だが、死後には生体モニターを取り出してリセットするのが作業員の役目である。
作業員にインターフェイスを見せてもらったが、目でようやく見えるほどの小さなもので、取り出した後の傷は全く目立たない。
昔に自身の体を実験台にして次世代システムの研究をしたとき、インターフェイスは必要なかったことを理沙は思い出した。
理沙の神経システムの一部にインターフェイスの機能が元々組み込まれている為で、無接触のインターフェイスがあれば事足りた。
基地の中枢システムの深層調査について、理沙が司令官に改めて申し入れをしたところ、翌日にようやく許可が下りた。



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