あらすじ_13_14
気持ちを整理してから、理沙は中枢システムの意識の中で見たものについて立ち会った3人に説明した。
中枢システムは、量子記憶パターンを使用して膨大な量の情報を記録することが可能だった。次世代システムのプロトタイプ開発時と比較して
比較にできない程のキャパシティの中枢システム。開発者にも測定することが不可能なほどの巨大人工意識システム。
そこに最大の問題があると理沙は考え、ひとつの推測を3人に説明した。要は、本物と偽物の記憶が多重化して存在しているということである。
実際に見えているこの世界の他に、並行する別な世界を抱えているようなもので、中枢システムはどちらも現実と認識し区別がつかなくなっている。
そして、ある別な世界で重大な問題が発生したとき、全体の均衡が崩れないように中枢システムが介入し、手続きの際に間違いが発生した。
現実の世界から見れば矛盾と見えてしまうため、つじつまを合わせる必要があり、その際に基地の中で犠牲者が発生した。
ばかげていると司令官は理沙の考えを否定し、調査チームを無能呼ばわりしたが、行政官が顔面蒼白になるのを理沙は見逃さなかった。