あらすじ_13_16
数々の映像パターンの中には、基地の住民の喜怒哀楽、目で見た物だけでなく心で感じたものや思考内のものまでが含まれていた。
特に先行きに対する不安が非常に多くみられることに、理沙は興味をもった。メンタル女が感じたような不安は映像パターンでは黒い渦のように見えた。
さまざまな黒い渦が混じり合い、どす黒いヘドロのような状態になり、理沙の体にまとわりついていた。体全体が包まれてしまい息苦しい。
うめき声のようなものまで聞こえていた。波のようなざわざわとした音も。中枢システムの中はこんな混沌とした状態なのだろうか。
理沙がそう感じた時、そんな喧騒が一気にやんだ。どす黒いヘドロはまだ体にまとわりついていたが、理沙の思考に何かが反応した。
ヘドロのような黒い物体は白いもやのような状態に変化した。視界が徐々にひらけてゆく。しかしそれは理沙の体のすぐ近くだけで、
少し離れたところではヘドロのような物体はそのまま。よく見るとヘドロの中には光る点が数えきれないほどあり、目のようにこちらを注視している。
光の点は一気に増えて、視線が四方八方から向けられている。強烈な光を浴びせられたその時、理沙は元の世界に戻された。