あらすじ_13_19
ひとりひとりの思いを汲み取り、混沌としたデータから、最適化した方向性を探り、あるべき進む方向とのギャップを調整するのがシステムの役目だが、
中国はその仕組みがかえって裏目に出てしまって国自体が崩壊してしまった。究極の民主主義を具体化したシステムは何もしなければ暴走する。
そこでシステムにどのような調整を加えればもっとうまくいくか、小さな実証実験の場としてタイタンの基地が選ばれた。
問題なくうまくいけば、実験の結果を国の中枢システムに応用することが予定されていたが、メンタル女には漠然とだが不安があった。
システム自体には未だに自我や本能という概念がないので、ただ生きているだけで、何が正しく何が悪かという定義もなく、恐れもない。
どのような方法で定義したかは今となっては不明だが、メンタル女は中枢システムにその定義を行うことに成功し、その結果としてメンタル女は殺された。
理沙が司令官にその結論を述べると、否定も肯定もしなかったが、メンタル女の残した仕事をやり遂げるのはあなただと意味深なことを言った。
タイタン基地は今日もいたって平穏だった。システムは正常に稼働し、生活の不安は全くないように見えた。表向きではあるが。