あらすじ_15_01


大統領の頭の中は今、目前に控えている中間選挙と来年度予算のことでほとんどいっぱいになっていた。側近たちを集めて今日も議会対策中。
太陽系開発事業が今のところ順調で、エネルギー問題解決のための木星資源開発の加速が着実に成果を生んでいるのが追い風だったが、
地上に目を向ければ、富の集中により差が広がるばかりの格差問題、好景気に惹かれて集まった移民に起因する様々な問題。
世界ナンバーワン米国国民であることの誇りと、人間の尊厳に訴えて勝利した大統領だったが、綻びを見つけては野党は攻撃の機会を狙っている。
会議の流れに少し行き詰まりを感じていた大統領のもとに、側近が会議室に突然入ってきて一枚のメモを渡した。
大統領はメモの内容を見て、一瞬行動が止まり神妙な表情になった。すぐにもとの表情に戻ると側近にメモを返す。
会議室のメンバーはその表情の変化に特に気に留めてはいなかったが、国防総省長官だけには思い当たるところがあった。
あとで大統領から説明を求められるかもしれないと長官は思った。メモには一言、「女房は生きていた」とだけ書かれていた。



あらすじ(15)表紙へ