あらすじ_15_10


理沙は15か月ぶりで帰宅することができた。軍本部への次回の出頭日は未定だが、その日までは自宅待機を命じられて自由な外出は不可、
孫娘が常に家の中を綺麗にしてくれたので、出かける直前とまったく変化のない部屋だった。貨物トランクをとりあえず部屋に置いて、
リビングに戻ると軍の制服のままソファに座り、ぼんやりと外を眺めていた。時の経過も忘れて心の中は無の状態。
やがて夕方になったところで孫娘が部屋に入ってきた。灯りもつけずに薄暗い部屋の中でぼんやりしている理沙に気づいて孫娘は悲鳴をあげた。
孫娘の悲鳴に、ようやく我に返った理沙は立ち上がり、孫娘の事を優しく抱き寄せた。帰宅して落ち着くはずなのに心は殺伐としている。
私服に着替えて寝室に入り、ベッドの上に横になりながら軍本部での会議の事を思い出した。士官に対して最後には感情的になり、
上司から発言をたしなめられるほど興奮し、冷静になろうとしてもなかなか納得がいかなかった。会議室の全員が敵に見えてしまう。
孫娘が夕食の支度ができたと呼びに来たのだが、理沙は気づかなかった。何度か呼ばれてようやくベッドから起き上がる。



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