あらすじ_15_12
理沙は再び軍司令部に出頭した。今回の会議は少将が不在のほかは前回と同じメンバーだった。今回の目的は事故調査チームにより作成された
高速艇事故の調査報告書の詳細説明だった。回収された数少ない高速艇の残骸から判明される事故原因、木星の作業プラットフォーム管制室が
保管している管制記録から推定される爆発事故の発生場所。動力システムの稼働モニターデータ。技術者である理沙にとって
一番関心のある事故発生の真の原因については、データ不足が理由で事故調査チームはまだ特定できていない状態だった。
士官は、考えられる事故原因について理沙に尋ねたが、理沙も情報が不足していて特定ができないと答えるだけだった。
理沙は士官に対して、今回の高速艇事故の原因と、タイタン基地での事故の原因については何らかの関連性があるのではとの自身の考えを述べた。
士官と上司の大佐は互いに顔を見合わせた。つい先日自分たちも同じことを考えていたからだった。しかし、士官は現時点で関連性のない論点については
この会議の場では扱えないと、理沙の意見を拒否した。詳細説明はその後も続き、ほぼ丸一日を会議で費やすことになった。