あらすじ_15_13


自宅に戻っても身体的には自由だった。ただし常時監視されて、不審な行動を見せればすぐに国家権力による身体的拘束が可能であることは、
精神的に不自由な状態と言えた。理沙は近所で買い物することもせず、家の書斎か、庭の手入れをすることで毎日を過ごしていた。
寝ても覚めても、頭の中では自身を完全否定されたような閉塞感ばかり。自分では正しいと思っていても立証する方法がない。
孫娘が自宅にやって来て、身の回りを世話してくれ話し相手になってくれることが唯一の気晴らしだった。晴れた空の下、庭で2人で食事をしながら
いつものように世間話をしていると、孫娘の方から理沙の気持ちを察し、自分には力になれることはないかもしれないがと前置きして、
司令部であったことについて話してくれないかと切り出してきた。理沙は自分が身に覚えのない事で責任を追及され、追い込まれていることを話し、
どうすれば正しさを証明できるのか悩んでいることを話した。孫娘は、しばらく考えてから、自分が正しいと思っているのであれば最後まで貫き通して、
絶対に諦めなければいつか道は開けるとだけ答えた。非常に簡潔な一言だったが、その言葉は徐々に理沙の心に浸み入り反撃のきっかけとなった。



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