あらすじ_15_16
争点となっている点についての説明は、内容は理沙には全く受け入れる事の出来ないものであったが、提出された証拠は整然としており、
被告側から見ても非常に理路整然としたものであった。弁護人はそのことは認めつつも、理沙の記憶しているところと食い違っている以上、
間違いを証明する物証を何としても探し出そうと必死になって考えていた。最初の説明の場が終わって弁護人は理沙と話し合った。
あくまでも仮定の話としてだが、と弁護人は前置きしてから、何物かが理沙に不利になるような状況証拠を集めて、巧妙にまとめ上げるとしたら、
どんな人物が関与しているか、思い当たる人物はいないだろうかと言った。理沙はその場では思いつかなかったので、自宅に戻ってからしばらく考えた。
今までの40年近い軍歴の中で、自身から見て敵のように思えた人物は山ほどいる。つい最近ではタイタン基地の司令官とは
調査方針のことで口論になったこともある。とはいえ、お互いに職務に忠実であるからこその対立であり、理沙自身に対する怨恨によるものではない。
次回の裁判所出頭までには数日の時間がある。自分の今までの歩みを振り返り、自身の古傷を探し出すための脳内での郷愁の旅となった。