あらすじ_16_03


弁護人は非常に地道なやり方ではあるが、証拠として提出されたデータの信ぴょう性についてひとつひとつ疑われる点を列挙していった。
筋道は通っており、各データ間の整合性については問題はない。しかしながら、被告である理沙の記憶とは全く相いれない内容であることから、
被告を有罪に持ち込みたいと考えている何者かが、巧妙にこれらの整合性のあるデータを作り上げていることは考えられないか。
自身が不利な立場に置かれることを恐れ、唯一の生きた証拠である理沙を罪に問うことで自身の保身を図る。その条件にあてはまり
証拠データを作り上げる事のできる技術的裏付けをもった存在は考えられないか。早速原告は主張は空想の産物であまりにもばかげていると反論した。
弁護士の主張はいったんそこまでで、次の裁判に呼び出されるまで理沙は再び自宅で待たされることになった。
どのような判決が下されるかは今のところまだ不明だが、今までの仕事に戻れる可能性は低いだろうと理沙は考えていた。
揚陸艦プロジェクトの状況が気になるが、職場との直接連絡は許されず、上司との会話も制限され、当面は裁判のことを考えるしかなかった。



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