あらすじ_16_05


理沙の記憶データ分析については一旦保留扱いとなった。却下されなかったことで理沙は手ごたえを得た。
結論を待つ間に、再度タイタン基地の事故の件を争点として持ち出し、タイタン基地の司令官を証拠人として招致することを提案した。
司令官はまだタイタンでの勤務中なので、リモート対応になってしまう事が課題だったが、検討事項となり結論が出るまで2人は待たされた。
すでに弁護人と共に裁判で闘い始めてから2か月、今までは軍と太陽系開発局で頭と体をフル稼働させて働いてきたので、
今回の裁判のような密室での孤独な闘いに理沙は慣れていなかった。しかしこの裁判は世の中全体を支配している中枢システムの
存在意義と信頼性に疑問を投げかけるものであり、この裁判で間違った判決が下されれば、今後大きな禍根を残してしまいかねない。
信頼性の疑われないまま中枢システムは間違った判断を下し、表面化しない犠牲者が爆発的に増えてゆく可能性があった。
ここで歯止めをかけて、未来に向けての軌道修正をすること。理沙は折れそうになる気持ちを奮い立たせて裁判に勝利することだけを考えた。



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