あらすじ_16_10
かねてから要請をしていた、タイタン基地の司令官の証拠人招致について、原告から反対はあったものの要請が受け入れられることになり、
理沙と弁護人は裁判所に出頭することになった。司令官はタイタン基地を離れる事ができないのと、2時間の通信タイムラグがあるために
事前に弁護人が用意した質問に対し、司令官が答弁した内容を法廷で視聴する方式がとられた。生の答弁でないことに弁護人は不満を示したが、
実現しただけでもよかったと理沙は思った。一番の関心事である、理沙がタイタン基地の事故報告書で指摘した、中枢システムの故意の過失について
司令官は否定することはしなかったが、タイタン基地の事故と高速艇の事故との因果関係は考えられないとの見方を示した。
タイタン基地で生じた事故はあくまでもタイタン基地の閉鎖世界での出来事で、社会全体の基幹システムが同様の過失を犯す可能性については
まだまだ検証が必要で、検証結果が出るまでの間は単なる仮定で結論を出すことは危険だというのがその理由だった。
答弁はその後も1時間近く続いたが、今見ている画像は本当に司令官のものだろうかと理沙は心の中で疑っていた。