あらすじ_16_13
記憶分析の行われる日程が決まり、理沙は出かけるための準備をした。事前に実施担当者から作業についての説明があり、
理沙は弁護士同席のもとで実施担当者からの技術的な説明を聴いた。研究施設の中で理沙は全身をセンサー類で繋がれて、
システムの仮想空間の中に精密に構築された、高速艇の中で自身の行動を記憶をもとに、現場検証形式で行われるとのことで、
提出された証拠とは無関係に、理沙が記憶している通りに行動することが求められていた。船長やリーダーである士官学校の同期も登場し、
事故当時と同じように理沙と会話するはずだった。ただ一つ問題点としては、理沙は事故の全容を知っているものの、他の人間は亡くなっているため、
理沙が彼らに感情移入して真実を変えてしまわないかということだった。そのような事態を防止するために安全装置が用意されているのだが、
もし使用する事態になれば、理沙の記憶分析を目的としながらも、理沙の記憶に大きな障害を残す可能性があった。
実施のために理沙に承認が求められた。理沙は少しの間考えたが、自ら申し出たことを今さら撤回するつもりはなかった。