あらすじ_16_20
いつも見慣れている自宅の風景が、理沙の目には非常に新鮮なものに写った。ソファに横になると今まで積もり積もった心労もあってか
そのまま眠りについてしまった。目が覚めると孫娘が食事の支度をしているところだった。理沙は乱れた生活を静かに支えてくれていた孫娘に感謝し、
その夜、孫娘は家族そろって理沙の帰宅と無罪放免を祝ってくれた。翌日から2週間ほど休暇を許可されたので、
毎日を仕事の事は一切考えずに優雅に過ごすことに決めた。収集したがまだ聴いていない古いレコードをかけてみたり、
古物店に足を運んで置物を終日眺めてみたりと、今まで多忙のためできなかったことを気の向くまま思いのままやって過ごした。
休暇も終わり、再び仕事に戻る前日に、理沙は仕事以外でこれから何をやりたいかについて考えてみた。今までを振り返り、
40年以上前に米国本土での生活を始めた最初の夜の、不安と期待の入り混じった気持ちを思い起こしてみた。
そろそろ自分にとっての潮時がやってきたのだろうか。その夜は、上司にどのように話を持ち出そうかと考えながら眠りについた。