あらすじ_17_03
米国本土から40数年ぶりで東京に戻り、しばしの間の住処を探すために街中を歩く。観光で何度か東京に戻ったことはあったが、
観光地ばかり歩いていた理沙は、裏通りの現実を見て変わり果てた没落の様子に愕然とした。昔の頃の方がまだましだと思えるような荒廃状態。
それでもまだ逞しく生活している人々がいることがまだ救いだった。ほんの3か月ほどではあったが理沙は裏通りの小さなアパートで生活した。
裏通りには温かい人情のつながりが残っていた。理沙は昼間は終の棲家を探すために歩き回り、夜は近所の飲み屋で食事をした。
やがて湾岸地域から外れた閑散とした場所に平屋の家を見つけ、傷んだ個所を修理して自分の気に入るようにリフォームをした。
湾岸地域の観光エリアに見つけた小さな店を貯金を使って買い取り、自分のイメージ通りのプチ酒場に作り替えて、
最初は客もなく道楽のつもりでいたのだが、その後の2年間、徐々に固定客を増やしていった。理沙は自身の経験を振り返ろうと手記を書く事を思いつき、
まずは東京の小さなクラブで働いていた頃から書き始めた。そんなある日、突然に理沙のもとに1通のメールが届いた。