あらすじ_17_07
一週間ほど店を空けて、理沙はワシントンに向かった。リモートで会話しても良かったのだが直接に長官に会うことにした。
ワシントンへの直行便の飛行機はがらがらの状態。感染症対策で全世界の交通網は瀕死の状態だったが、おかげで機内では優雅に過ごす事ができた。
ワシントンに到着するとそのまま事業団本部に向かい、会議室で長官と2人だけで会話することになった。理沙が事業団を退職して7年。
しかし、その間には理沙にとって苦難の3年間があり、長官も苦労と年を重ねたせいもあるのか、幾分やつれているように見えた。
互いの苦労話には触れずに、さっそく本題となった。長官は木星の資源インフラが着実に成長して太陽系全体を支える存在になっていること、
その礎を作った理沙に対して感謝の言葉を述べた。しかし、世代交代が進み、現場には中核となる人材が不足している事。
技術者の待遇についても、国の予算の見直しにより自動化、省力化に注力が向けられることになり結果として離職者は増加。
皮肉にも潤沢な予算の軍のプロジェクトに優秀な技術者が流れ込んでいた。そのような現状を理沙に打破してもらいたいというのが長官の願いだった。