あらすじ_17_08
その夜は長官と食事後、一人で夜のワシントンを歩きながら長官からの話について考えていた。ホテルで横になったが深く眠れず、
翌日は再び事業団本部で長官から現在の事業の状況について説明を受けた。木星では理沙が退職する直前の3倍にプラントの生産能力が拡大し、
作業用プラットフォームは建設中も含め10基に増加、旅客目的の港も2箇所建設が始まり、軌道上や4大衛星では居住地建設計画が具体化していた。
しかし、その先をプランできる人材が事業団にはいなかった。そこに最近になって軍からの要請で舞い込んできた巨大宇宙船建造プロジェクト。
先日、元上司から聞いた話がここでようやくつながった。話の中にあった巨大宇宙船は事業団も絡んだ事業のようだった。
事業団が関係しているとはいっても、技術力においては軍の方が上で、主導権はすべて軍に握られている状態である。
そこで理沙には、事業団側の担当者として巨大宇宙船プロジェクトのコントロール役になってもらいたいと長官は言った。
理沙は即座に断った。自分が軍に在籍していたときの最後の仕事であり、理沙が事業団側の人間として参画したら混乱を招くと思ったからだ。