あらすじ_17_09
ワシントンから東京への帰りの便も機内はがらがら。理沙は座席を優雅に使いながら何もせずに横になって過ごした。
結局のところ、長官とは2日間事務的な会話だけで終わってしまった。理沙の方から気を遣ったわけでもなく、互いに触れたくない事の回りを周回する。
理沙は開発局本部を去る前に、中核となるであろう人員を選定し、引継ぎもきちんと行ったつもりだった。その後の7年間で世代交代が行われ、
中核メンバーが順調に育てば事業団は安泰のはずだったのだが、大統領の交代で風向きは変わってしまった。交替した副大統領は、
いったい何を思ったのか、先代の意志を引き継ぐことなく事業団への予算の見直しを行い、中核メンバーへの逆風が吹き荒れた。
中核メンバーは民間企業、又は軍のプロジェクトに流れてしまった。皮肉な事に理沙が育てた軍のプロジェクトにも中核メンバーの一人が在籍している。
揚陸艦プロジェクトは、単に構想として提案した発展型プロジェクトが正式に採用されて、その後は機密のベールの向こう側にある。
そこで長官は軍と事業団両方に顔の広い理沙にスポットを当てた。軍に戻るあてがないなら雇ってやろう、そう思えなくもないが。