あらすじ_17_23
一日平均で3便のペースで輸送船が木星から出発しているが、その3分の1を使用した大量船団が太陽/地球L3へ出発しようとしていた。
積荷は大量のヘリウム3と水素。各輸送船は省力化のためにほとんどが無人。船団の中の数少ない有人の輸送船が船団全体をコントーロールしている。
船長は積荷と目的地の指示は受けているが、合計50万トンの積荷の使用目的については知らされていない。代金が払われる事には不満はないが、
突然の出発指示と政府の秘密主義に対しては船長は不満を持っていた。管制官も同様の心境で、出発手続きの際に2人はブラックジョークを交わした。
社会インフラを支えている底辺労働者のはずなのに、全く報われていないという気持ちばかりが先に立って、辞めたくなる事も時々あるが、
地球で待っている家族の事を思うと簡単な事ではない。今日もニュースでは感染症での感染者と死者数の数字が淡々と発表されていた。
世界各国の英知と努力によって作られた木星の資源インフラだったが、存在意義が今さらのごとく議論され、参加各国の利害が衝突していた。
管制室から正式に出発指示が出た。船は目的地に向けて3か月の旅に出発する。