あらすじ_18_01
荷物の整理は終わった。必要な生活用品だけコンテナに詰めて、前日に配送業者に渡してあったので、手荷物はバッグ1つのみ。
家の書斎以外の部屋は2人の店員に自由に使ってもらうことにしてあった。明日から彼女たち2人がここで生活を始める予定だった。
空港に向かう途中、理沙が店に立ち寄ると店員2人が開店準備を始めているところだった。彼女たちには特に心配はなく伝える事もなかったが、
ポケットから封筒を1つ取り出すと、年上の店員に手渡した。彼女はあて名だけ見ると小さくうなずいてそのままキッチンの引き出しにしまい込んだ。
理沙が昨夜ぼんやりと考えながら書いたものだった。いろいろと思うところはあるが、結局のところ面と向かって言えずにこんな形になってしまった。
何かあった時のための連絡先として、不動産屋の社長、町内会長と、事業団長官の連絡先を2人伝えると理沙は店を出た。
果たして長官と約束した通り、3年後に再びこの場所に戻ってこられるのかどうか。軍とのこの先の会議での争い、
木星での自分に課せられた責務を考えると気が重くなりそうだったが、今まで通り、目の前の課題を確実にこなす事だけを考えることに決めた。