あらすじ_18_06


暗闇だと思っていた場所だったが、自身の存在とまわりの世界の状況について認識できるようになってきた。目が見えないのに物事の所在がわかる、
夢を見ているわけではないのに夢の中のような光景を見ていた。意識を働かせれば自分の望む場所への移動も可能だった。
自身は巨大なシステムの中央部に置かれているのではないかと推測した。社会を支えるインフラである巨大システムには、
ありとあらゆる場所からの情報が流れ込み、分類整理され、蓄積されていた。中にはどうでもいいような戯言や雑学の掃きだめもあったが、
全体としてまとまると、大きな流れが存在するのがわかるようになってきた。それらはあるべき姿ではなく調整が必要であるとシステムは判断し、
その行動がひずみとなって表面化した。傍観していると問題点が非常によくわかった。しかし、手出しをしたくてもできなかった。
まわりの世界を見渡せても、見えない何かに束縛されているようで身動きがとれない。ひずみはさらに大きくなりついには人的被害も発生した。
このような身動きの出来ない場所に自分押しこめて、いったい何が目的なのか。気持ちが徐々にネガティブな方向に向かい始めていた。



あらすじ(18)表紙へ