あらすじ_18_10


突然の目覚め。白い天井から柔らかな光。今まで見ていた夢の中のような風景から、リアルな現実世界に移されてもなぜか不安になってしまう。
何人かが自分の顔を覗き込んでいた。片目を無理やり開けられ光を向けてきたので反射的に首を振る。眩しい光よりも自分の意志で動けることに驚く。
医師か科学者と思える白衣の人物数人と、看護師の女性。喋っている声は鮮明に聞こえるがまだよく理解できない。起き上がれるかと看護師に言われて
背中に力を入れると無理なくベッドの上で起き上がることができた。両手、両足が見える。無理なく両手を持ち上げる事もできた。
体のあちこちにケーブルが繋がれてベッドのまわりにはたくさんの機械があるが、体全体のなんともいえない解放感が心地よい。
最初の日は医師と看護師に終日囲まれてベッドの上だけでの生活だったが、翌日からは体を支えられながら部屋の外を歩き回る。
研究施設のような清潔だが冷たい場所。長い廊下の突き当りにある全身鏡で自分の姿を見たが、記憶している自分自身と何の違和感もない。
しかし、付き添いの看護師になんとなく今日の日付を聞いて愕然とする。意識を失って30年近い月日が流れていたからだった。



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