あらすじ_18_11


木星に行くのはこれで何度目か。普通の出張感覚で新鮮味に欠けるが、それでもシャトルに乗り込んで出発を待つまでの短い時間は
理沙はいつでも気分が高揚するのを感じていた。指揮官2名と160人の運用メンバーは3機のシャトルに分乗して地球/月L1宇宙港へと向かう。
4年ぶりに上空から地球を見下ろし、多くの問題を抱えて病んでいる地上の世界とは思えないほど、海は青く、陸には緑と茶色が程よく分布していた。
観光気分はほどほどに、シャトルの中でもやるべき仕事は山ほどあり、理沙は会議続きでなかなか読めなかった資料に目を通す。
事業団からの出向メンバーに対する技術レクチャーをしている最中、長官経由で店の女性店員からのメールを受け取る。
理沙から預かった手紙を初老の社長に手渡したこと、彼の反応について短く触れられていたが、3年間のひと言で彼が納得したかはわからない。
やがてシャトルは宇宙港の近くまで接近していた。しばらく見ないうちに再度宇宙港は拡張されて居住施設が増えていた。
地上手続きでのトラブルのため他の2機のシャトル到着まで1日待たされたが、かえって好都合で、理沙たち50人はホテルで優雅に過ごすことになった。



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