あらすじ_18_13
1か月におよぶ艤装作業で船内の設備の整備が完了した。発着ロビーや居住エリアは美しく整えられ、中央制御室にも各種機器類が整然と並んでいた。
32人の運用メンバーは配置につき、中央制御室のモニターパネル上のチェックリストは、各システムの準備が完了したことを表示している。
女性士官は、中央制御室の艦長席からモニターパネルを眺め、制御室のオペレータと各セクションの作業員に準備完了を告げた。
新型宇宙船から離れたところで工作船が出発を見守る。全長1800メートルの船体は小惑星をくりぬいた建造ドックから既に引き出されていた。
女性士官の発進指示で、クラスター推進システムが徐々に活動を始め、輝く噴射の光が辺り一帯を太陽光のように明るく照らす。
新型宇宙船の出発連絡が理沙たちのもとに伝えられた時には、運用メンバー160人は巡洋艦に乗り込みちょうど出発準備中だった。
2つの宇宙船は木星でちょうど2か月後に合流することになっているが、太陽を挟んで地球の反対側から出発する新型宇宙船は
巡洋艦と比較して木星まで長い距離を移動する必要があるが、それでも同じ頃に到着できる能力に理沙は感心した。