あらすじ_18_14
巡洋艦「アトランティス」が予定より1日遅れで木星に向けて出発した。追加接続された4つの居住モジュールの中で理沙たち含め162名が生活する。
2か月弱の航海の間も、管理職は事前調整の毎日の会議、運用スタッフは新型宇宙船の資料の読み込み等、それなりに忙しく、
一日一回の両宇宙船間での進捗会議では、航行モニター表示を見ながら状況確認。しかしその会議の場に女性士官の姿はなかった。
L1宇宙港を出発してまもなく、L4で建設中のスペースコロニーが見えるということで、理沙は窓から最高倍率で写真を撮ろうとした。
見えると言っても、距離は数千キロ離れていたので小さな点にしか見えなかったが、カメラで拡大して2つ並んだシリンダー型の物体を見る事ができた。
建設は予定通りに進んでいて、来年には入居が始まる予定だったが、続くスペースコロニー建設は頓挫していた。推進役の事業体が崩壊寸前で、
参加した国家間同志で責任のなすり合いが始まっていた。技術的には何の問題もなく、自動増殖ロボットの技術はコストの問題も解決したはずなのに、
国家間のエゴがプロジェクト推進を阻んでいた。木星も同じことにならなければいいのだが、と理沙は自室で写真を眺めながらふと思った。