あらすじ_18_18
木星への出発前に元マネージャーと一緒に考えた小説のドラフト版が、理沙の元に届いた。木星への旅の後半は比較的仕事量が少ないので
自室で過ごせる時間帯に、3日ほどかけて一気に読み切ってしまった。出発前に2人でかなりの時間をかけて議論しただけの成果はあった。
主人公の歌手は今では亡き人なので、取材は当時のスタッフから背景となる情報を引き出すしかなく、足りない部分は想像力で補うしかない。
最初で最後のワンマンコンサートでステージに向かうところ、彼女を背後から見送った時、元マネージャーは背中に影のようなものを見つけ、
悪い予感のようなものを感じていたと言っていたが、その点についてはあえて触れずに、控室での彼女の心境を元マネージャーは想像力で表現した。
元マネージャーに助言したことがすべて文章として具体的に表現されていることに理沙は感銘を受けた。
主人公の歌手、理沙、元マネージャー各々3人の視点から、飾ることなく平等に物語は構成されていて、理沙と元マネージャーのその後について
最後に加筆するつもりだと元マネージャーはメールに書いていたが、その必要はなく、余韻を持たせた終わり方でよいと理沙はコメントを返した。