あらすじ_18_21
「アトランティス」の窓から、理沙は徐々に宇宙船が接近してくるのを眺めた。船体は窓いっぱいに覆うほどに広がり、それでもまだ距離があった。
船体は「アトランティス」の10倍近い大きさがあり、船体の発着ロビーに連結後、スタッフは巨大宇宙船に乗り込み宇宙船側で待つスタッフと握手を交わす。
すぐに公試運転の完了報告と正式に軍/事業団側へ引き渡すための式が行われた。女性士官はまだ中央制御室から向かって来ている途中で、
もう少し時間がかかると案内があった。理沙はどんな極悪非道、冷酷無比な人物であっても動じないつもりだったが、さらに待たされて内心いらいらしていた。
女性士官が運用スタッフ数人と一緒にやってきた。落ち着いた足取りで理沙の方に近づいてくる。ようやく表情が認識できるところまで接近したとき、
理沙は何か夢でも見ているかのような気分になった。今までの数十年の時間を無視して突然現れた女性。フォトプレートの中から突然現れた彼女。
理沙は女性士官と握手を交わし、引き渡し式は事務的にすぐに終わった。理沙は式の間ずっと女性士官の目を見ていたが、
女性士官は終始涼しい顔で動じなかった。式が終わると女性士官は理沙の手を取り船の中の案内を申し出た。