あらすじ_21_05

気がつけば事業団幹部たちとの会議も1か月以上行っていた。連日ではないにしても、はなから受け止める気持ちのない人々を相手に、
理沙も実施主任も疲れて果てていた。木星の行政官からは、成果の上がっていない会議に対して毎日のように届く苦言ばかり。
しかし、長年にわたり蓄積した技術力により十分実現可能であること、将来につながる着実なプランがあることを地道にアピールするしかない。
季節はもう初夏になっていた。例年にない強烈に暑い日が続き、2人は会議が終わって滞在先のホテルに戻る途中、
タクシーの中で今日の会議を振り返り、少しだけ気分が軽かった。本部の技術チームの中にも2人の考え方に興味をもち賛同する人物がいるようだった。
彼らとの個別会議は1週間先。しばらく休みもとれなかったので、理沙は実施主任と一緒に短い休みをとることにした。
実施主任からの誘いで、家族の住んでいるフィラデルフィアに向かうことにした。実施主任にとっては2年ぶりの帰郷である。
翌朝早く、2人はフィラデルフィア行きの列車に乗った。外の風景を見る事もなく、2人は到着までひたすら眠りについていた。



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