あらすじ_21_17
事業団上層部との会議が再開された。休暇で気持ちをリセットできた理沙と実施主任だったが、会議の方は休暇前の雰囲気がそのまま続いた。
技術論どうのこうのという会議ではなくなり、上層部メンバーの好み、もしくは利権がらみの感情論になりつつあった。地球滞在期間は4か月を超え、
理沙は行政官から宿泊滞在費のことで忠告を受ける事になった。事実上の打ち切り指示である。地球への出発時の気持ちの高揚感は今やなく、
理沙は会議の場で正式に提案を降りる事を宣言し、長い会議は終わった。溜まっていた疲れがどっと出て翌日はホテルで何もせずに過ごす。
成果が何も出せなかったと気持ちが落ち込んでいたところ、行政官からはさらに輪をかけて早く木星に戻るようにとせかされた。
理沙は実施主任と昼食を食べようと外出した時に、休暇中にコンタクトした業者からの調査報告と費用見積もり見せられた。
実施主任は、万が一提案が通らなかった時のオプションとして、規模を縮小して技術検証のためのレーザー発振基地の案を探っていて、
地球からの中核部品の調達含め、大方段取りができていた。報われなかったが、提案の背後にある考えをしっかり理解してくれたことに理沙は救われた。