あらすじ_21_18
4か月以上通った事業団本部。通うのは今日が最終日である。腹の探り合いのような日々だったが、理沙と実施主任は上層部各メンバーに挨拶し、
比較的協力的だった上層部メンバーとはランチミーティングをした。会話の場で、技術畑出身の役員から今後のことについて尋ねられ、
実施主任が考え、裏で段取りまでしてくれた、縮小プランの話を持ち出した。木星の現場の裁量の範囲で可能な最小限のものだったが、
役員からは自分も出来る範囲で協力したいとの申し出があり、理沙は驚いた。一枚板が崩れようとしているどころか、事業団に対しての反乱でもあり
理沙は気持ちだけ受け止める事にして役員の申し出はやんわりと断ることにした。役員からは裏情報として、上層メンバーのほとんどが
企業と深い関係にあり利権にまみれ身動きがとれないことを聞かされたが、理沙は既に見抜いていることであり目新しい事ではなかった。
2人は役員達と握手をして別れた。事業団本部での長い闘いはこれで終わった。しかし、理沙にはまだやるべきことが1つ残っている。
長官の部屋の前に立ち、ひと呼吸してから部屋に入った。窓から差し込む西日で長官は背中から後光が差しているように見える。