あらすじ_22_01

旅客船が木星に到着するまであと1週間ほど。船の中でも理沙は通常通りに執務をこなし、実施主任は大出力レーザー通信システムの設計を継続中。
日々理沙の手元に届く政府の動向調査レポートでは、地球政府の地球外居住地に対する圧力を予兆するような不穏な動きが見え隠れしていた。
もう時間の問題だと思っていた。通信のタイムラグが1分ほどになり、一方的な会話だけになっていた会議をリモート会議に切り替え、
直子と大佐に万が一の事態に備えた準備状況について理沙は尋ねた。先週には衛星の水精製プラントからの最初の輸送が始まり、
作業プラットフォームでは、閉鎖リサイクルシステムだけに頼る状況から解放されそうだった。木星からの有機化合物採取プラントについては
設計が完了して自動化工場への設計データ導入が完了したところだったが、素材となる小惑星をトロヤから追加で調達するのに時間が必要で
すぐには製造に着手できないとの事。制裁が本格化しない前に着手したいと思っていた矢先、制裁が現実のものとなってしまった。
理沙が寝室でうとうととしていた時、作業端末からのアラートが突然に鳴った。地球政府が正式に制裁を始めたとの行政官からの知らせだった。



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