あらすじ_22_04
皮肉な事に、生活の場としての木星の意義を政府に訴えるために、わざわざ新しい仕事を創設し、さらに予算を獲得するのはいかがなものかと
直子は強い意見をぶつけてきた。現場を8か月も離れて地球に行き、意義があると思えない提案活動を行い、成果もなく戻ってきたのは
ムダと言わずに何と言えるのか。ムダという一言に会議室のメンバーが皆直子の事を注目した。対して理沙は腕を組んで落ち着いて聞いている。
大佐が直子のことを制止した。議論が争点から外れていくのを懸念して行政官が話を戻した。皆で協力してこの事態を乗り越える方法を考えようと。
要員体勢の縮小については、削減目標人数の達成を課題とし、政府への回答期限である10日後までに各現場で考えることにした。
会議が終わり指揮官3人と行政官だけになった。直子は先ほどまでの興奮状態もおさまり、いつもの口調に戻っていた。
それでも理沙に対しては、レーザー通信基地のことにいまだにこだわっていることが理解できないと、不満を述べていた。
何か本心があるのであれば隠さずに説明してほしいとの直子の言葉に、理沙は小さくうなずくと時が来たとばかりに提案の背後にある考えの説明を始めた。