あらすじ_22_13
行政官の治療は継続中だったが、消化器疾患以外にも年齢故に体力が限界であることも考慮され、職務継続不能であると政府は判断した。
行政官の帰還のために要人輸送用の高速艇が急遽準備された。かつて理沙が10年前に事故に巻き込まれたのと同じ仕様の船だったので
理沙はいやな予感がしたが、既に何度も航海している船であり問題ないとの実施主任からの説明に、憂慮することはないと判断した。
地球への出発の日、行政官から先日病室で話したことについて再び念を押すように言われた。自分の後継としてふさわしいのは理沙だけで、
管理職からの抵抗と軋轢はあるだろうが、はねのけて行政官に就任して欲しいとの願いに、理沙は必ず思いに応えると彼の手を強く握りしめた。
翌日、政府からの任命書を行政官代理から見せられ、正式に行政官に昇格したことを告げられたが、理沙は特に反応しなかった。
新任の行政官は、すぐに会議の招集し管理職に挨拶をした。新任の行政官に対しては歓迎する声よりも反対する声の方が多く、
最初の訓示に対しては、現場からブーイングが沸き起こった。数々の指示に対しても現場は反応せず混乱が広がっていた。