あらすじ_22_19
理沙が訓示を述べている間、実施主任は自室で作業の手を止めて画面に注目していた。訓示が終わると再び作業を再開した。
地球から届いたメールを開き、送付されてきたデータをひとつづつ確認していった。木星の気象データが含まれているものだが
大半は木星の雲の動きを詳細に示した動画データである。ひとこまひとこまの画像に分解して、フィルターで変換すると一部に小さなデータが仕組まれ、
そのバイナリデータを抽出して組み立てると、パズルのピースような画像の破片のようなものが現れた。気の遠くなるような作業だったが、
食事も寝る事も忘れそうになるほどに実施主任は作業に集中し、根気強い作業の結果、徐々に全体像が見え始めてきた。
結果が見え始めるとさらに手の動きが速くなる。システムに任せれば一瞬にして出来るのかもしれないが、任せる事はできなかった。
全体像が現れ、実施主任は手を止めてシートに深く座り大きくため息をつく。しばらく放心状態だったが、やがて理沙に連絡を入れた。
待っていたデータがメーカーから秘密裏に到着した。レーザー発振基地の中核となる、重要パーツの設計データである。