あらすじ_24_02
情報の洪水は、木星と地球の間だけではなかった。太陽を挟んで地球の反対側、太陽/地球L3でも事態が動いていた。
巨大宇宙船が建造されていた同じ場所で、2隻の揚陸艦が出発の時を待っていた。巨大宇宙船の建造時には中心人物としてかかわっていたものの、
その直子にも知らされていないほど極秘扱いの揚陸艦。皮肉な事に理沙が軍退役直前にかかわっていた最後の案件が目の前で形になり、
任務を遂行しようとしているのを見て、理沙は非常に複雑な心境になった。さきほど感じた邪悪なものの正体はこれだったのかと。
意志をその揚陸艦に向けると、理沙と直子はシステムの中に直接に入り込むことができた。装備類の積み込みも兵員の搭乗も完了して、
あとは大統領の指令を待つだけだった。先日の大統領の戦争発言での国防長官の慌てぶりも、理沙が信頼できる軍関係者から得た情報の断片も、
組み合わせてみて事の全体が今はっきりとわかった。理沙と直子は揚陸艦の中央指令室に入り込み、スタッフたちが出発準備で忙しい中で
彼らから見えない姿で立ち、取り囲むディスプレイ表示を眺めた。さて、これからどうしようかと理沙は直子に問いかけた。