あらすじ_24_15
席を立った直子は、ふと中央制御室の全体を見渡し、いつも見慣れている光景のはずなのに非常に愛おしい気持ちになってきた。
あと数十時間後には戦闘が始まるかもしれず、最高の武器を揃えてはいても、もしかしたら不測の事態で多大な被害が発生して
作業員やスタッフに犠牲者が出るかもしれない。わかっていても常に冷静沈着に行動して正しい判断で部下を指揮するのが自分の役目。
直子は作戦テーブルの前に立ち、皆の視線が自分に集まるまで待ってから、今まで自分を支えてくれたことを感謝し、目の前の危機について語った。
オペレーター席には、宇宙船建造開始の頃から共に過ごした者も何人かいた。制御室内のオペレーター一人一人の名前を呼び、
危機を乗り越え勝利を信じて戦おうと励ました。そして最後に指揮官席の理沙に目を向けて、優秀な指揮官であり尊敬する姉だと賞賛した。
直子が中央制御室を出て行こうとして理沙のそばまできたところで、理沙は立ち上がり直子の手を固く握りしめた。
準備すべき事はすべて終え、今の言葉で、皆の気持ちの中の不安を払しょくできただろうかと直子は思ったが、直子自身もう後悔は感じていなかった。