あらすじ_24_22

木星のまわりを2か月間漂流した経験を、理沙は再び直子に話し始めた。タイタンでの事故の真相に迫り、その直後の出来事だったので
理沙は中枢システムが自分を狙い殺そうとしていたのだと推測していた。しかし夢うつつの状態の中で見たイメージには敵意はなく、
結果として生き残って救出され、その後に考えるための十分な時間が持てたことで、実はシステムは別な道を模索しているのではとの結論に達した。
直子は、まさかこの結果を予想していたのかと理沙に尋ねた。わざわざ地球と木星の対立の構図を自ら作り出して、戦争で命を危険に晒し
最後の最後で兵器が使えなくなった事態を予想していたのかと。理沙は頷き、一つの国家を消滅させタイタンでは多数の犠牲者を生み出した
全体最適化ルーチンが、今回は人類全体の命を救ったと自分の考えを述べた。システムが意志を持ったとか機械知能だとかいった事ではない。
予測不可能な、未知の世界に乗り出したのだろうかと直子は思った。これから先いったいどうなるだろうかと空恐ろしい気持ちになってくる。
しかし、理沙の穏やかな表情を見ながら、たぶん破局とか絶滅とかいった事にはならないだろうと直子は思った。



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