あらすじ_25_01

理沙から教えてもらった店の住所を目指して直子は歩く。空港から東京の街の中をあちこち寄り道しながら、姉との思い出を振り返る。
東京湾を見渡す事の出来る公園は、公園そのものは変化はなくとも、見える海の風景は激変していた。見ないうちに拡張された人工島。
夕方になるまでぼんやりと海を眺めていたが、人工島の照明は昔以上に強烈で、情緒のかけらもない。横断道路を渡るバスから眺めると
ヘビーリフターが何機も駐機していて強烈な噴射の力で次々に衛星軌道に向かっていた。太陽系内の交通に活力が戻ったのはいいことだが。
昔はまだそれなりに情緒があったと、直子は理沙と2人並んで海の見える公園で写真を撮ったりしたことを懐かしく思った。
その日から60年の日々が流れている。激動する世の中で2人は別々の人生を歩み、激動する世の中のど真ん中での突然の再会。
懐かしさと戸惑い、お互いの立場の違いと責任感ゆえの対立、そして互いの特殊能力ゆえに未来について真剣に議論したことも。
今ではその能力も消失し、理沙も永遠の眠りについてしまった。店のすぐ近くまでやってきたがなかなかドアを開ける気分になれない。



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