あらすじ_25_06
理沙の家には年上の店員がまだ住んでいたので、常に整理整頓されていた。書斎と寝室はまだ理沙が住んでいるかのように綺麗に掃除されている。
直子は遺品整理もかねて寝室で生活することにした。店員は家を直子に渡して出ていくつもりだったが、直子は引き続き住んで欲しいと引き留めた。
軍を退役してからは、理沙は店番で週4日、ほか3日を書斎で過ごす生活をしていたようだった。本棚には多数の本があり、
クローゼットには長年溜め込んだ音楽雑誌やレコードがあり、一部は骨とう品級のものもあった。遺品整理のつもりがコレクションを探索するはめになる。
軍の制服と勲章も見つけた。しかし直子の目を引いたのは膨大な量の記録ライブラリーだった。開発局在籍の頃に撮ったと思われる写真、
「エンデヴァー」で撮った木星・土星の画像、タイタン基地で撮ったスナップショットには諮問会議で知り合った有識者から聞いた理沙の親友の姿も。
一番最後の記録は、開発局本部で木星レーザー発振基地の建設について上層部にプレゼンしている姿だった。必要性について熱く語り、
上層部メンバーと議論している姿は、つい先日の出来事のように思えてしまう。ドアを開けて理沙が部屋に入って来そうな気分になった。