あらすじ_25_14

その後も直子は、いくつかのプロジェクトの技術アドバイザーとして後輩たちの相談にのった。共に準備を進めた恒星間探査機の出発を見守り、
地球/月L5でのスペースコロニー第二期工事の開始に向け、計画段階から後輩たちを手伝い、政治家たちとの会議にも何度か出席した。
地球政府と木星が戦闘状態寸前まで対立した出来事は、まるでなかったかのように人々の記憶から薄らぎ、大統領は2人も交代した。
一旦落ち着き、冷めた目で世の中を眺めてみれば、増加する一方だった世界の人口は22世紀には減少を始め成長の限界が見え始めていた。
紛争は世界のあちこちで発生しており、中身のない数字だけの経済成長の矛盾が一気に噴出し、唯一の支えは木星の資源開発拠点のみ。
これからも第一線で頑張り続けようと思っていた直子だったが、一人、また一人とかつての同志の死去の知らせが耳に入ってきた。
再生医療と遺伝子治療は長寿の可能性を拓いたが、まだまだ根本的に解決すべき問題も残っていた。再生治療は有能ではあるが諸刃の剣で、
寿命制御遺伝子の延命もまだ実験レベルだった。そんな中、元大佐が亡くなったとの知らせが。会った時には元気そのものに見えていたはずなのに。



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