あらすじ_25_21

余計な事は考えずに直子は仕事に没頭した。太陽/地球L3では14隻の移住船の建造が始まり、太陽/地球L4とL5ではスペースコロニーが次々に完成し、
入居が始まった。政策としてスペースコロニーへの強制移住が行われ、世界各地で反対運動や暴動が起きたが、地球再生計画の大号令のもと
力でねじ伏せられた。太陽系外移住に注意が向けられないように、政府もスペースコロニー移住を煽りたて、空港の意図的な混雑映像が、
人々をさらに空港に殺到させることになった。その混雑の合間を縫って直子は移住船の受け入れ準備のために木星に向かった。
木星は直子が軍を退役した頃からさらに発展し、人口は40年前の10倍に、軌道上の宇宙港に加え木星大気中にも生産プラントが完成していた。
木星の現場には直子の同志は誰もいない。移住プロジェクト全体の責任者として全体を指揮していても、心の片隅には部下に語れない悩みがあった。
ある日、直子は数十年ぶりで理沙が登場する夢を見た。2人で一緒に木星を見下ろしながら、間もなくやって来る移住船のことを語り、
抱えている心の悩みを理沙に打ち明けた。理沙から反応はなかったが、リアルその内容に直子は目覚めた後もしばらく余韻にひたっていた。



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