タイタン着陸船救出プラン

サンプル版ストーリーの「救出作戦」の中で、タイタンで酸素タンク破損のために、「エンデヴァー」への帰還が不可能となった着陸船を、
原子力ラムジェット機が救助に向かうというシーンがあります。
まるでアポロ13号の救助作戦のような、事故の原因も酸素タンクの破損だし、ただ違うのは着陸船を救うための
救命ボートが手元にない事(アポロ13号の時は、司令船に連結している月着陸船が救命ボートの役目を担った)。
同時期に土星に到着していた、中国の宇宙船から着陸船を使用して救助に向かうとの提案もありましたが、
中国の着陸船が2人乗りで収容能力に問題あり(タイタンで救助を待っているのは3人)という事、
準備に必要な時間との兼ね合いもあり、3人の救助は絶望的になりました。

そこでふと理沙が思いついた案は、木星で機能テストを行う予定だった原子力ラムジェット機を、救助に使用するというものでした。
タイタン表面への着陸装置を持っていない原子力ラムジェット機を、いかにして着陸船乗組員の救助に使用するか。
文章ではわかりずらいところもあるので、ここではイメージ図も用いて説明します。

●救出プラン
 アポロ13号と異なり、着陸船の酸素タンクはすべて使用不可になったわけではなく、2つのうち1つは使用可能である。
 着陸船は、メタン燃焼方式の推進システムを搭載しているため、酸素を自前で持って行く必要があり、
 その点が「エンデヴァー」帰還における最大のネックになっていた。
 タイタンには大気中にも表面にも、メタンが有り余るほど存在し、現地調達可能だが酸素はそうはいかない。
 帰還するのに不要なものはタイタンに放棄し、着陸船の重量を極力軽くしても、まだ「エンデヴァー」周回軌道に到達するための
 十分な速度を確保することができない。
 そこで考え出されたのが、原子力ラムジェット機をタイタン大気中に降下させて、空中で拾い上げる案である。
 下記図にて示すが、着陸船が可能なところまで上昇し、降下してきた原子力ラムジェット機と空中でドッキングし、
 その後は、原子力ラムジェット機のパワーで着陸船とともに「エンデヴァー」周回軌道へと帰還するという案である。


<上記図の説明>
〇赤色破線 : 着陸船の本来の帰還コース。
〇青色実線 : 救出作戦時の、着陸船の飛行コース。帰還に必要な速度を得る事ができず、タイタンに墜落する。
〇緑色実線 : 救出作戦時の、原子力ラムジェット機の飛行コース。
          着陸船が最高高度に到達したところで、原子力ラムジェット機が大気中で着陸船を捕獲、
          原子力ラムジェット機のパワーで「エンデヴァー」へと帰還する。


●着陸船の捕獲方法
 原子力ラムジェット機は、木星大気中から大気サンプルを採取して「エンデヴァー」に持ち帰るために作られたものであり、
 着陸船のような大きな物体を運ぶようには設計されていない。
 ただし、着陸船には幸いな事に、「エンデヴァー」の船外に固定するためのハードポイント接続金具があり、
 「エンデヴァー」には、着陸船を船外に固定するための金具の交換部品がストックされており、この交換部品を
 原子力ラムジェットの胴体に取付を行い、背中に乗せて輸送を可能とする緊急作業が行われた。

 ハードポイント接続金具は、ばね仕掛けで連結される仕組みとなっており、
 中心軸が多少ずれても、ばね仕掛けには多少の遊びがあるため、上から押し込むだけでしっかりと固定される。
 下記図にて、原子力ラムジェット機が着陸船を背中に乗せた状態(ピギーバック)を示す。

固定用金具を原子力ラムジェット機に取付する際に、原子力ラムジェット機の機体に穴をあけてボルト固定するリスク、
また、原子力ラムジェット機がフルパワーで上昇する際に、着陸船内の3人の乗組員の放射線被曝がどの程度になるのかという事、
考慮すべき点は様々ありますが、今後の課題にしたいと思います。



「各種考察」メニューへ