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− 連続小説掲示板 −

ここでは「理沙の物語」の詳細ストーリーを書いています。
なお、この掲示板は閲覧専用です。

最近更新が滞っていてすみません。。。。。(^_^;


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逃亡(その3) 投稿者:理沙の旦那 投稿日:2004/04/13(Tue) 01:15 No.92  

れいなを除く店の娘全員には、ママから連絡がすべてついていた。
給与のまだ振込みがされていない件については、全員から驚きの声があがったが、さっそく全員で手分けして2人を探すことになり、
店はとりあえず臨時休業ということになった。
「どこかに隠れているのかしら?」
2人がそれぞれ持っている携帯電話を頼りに、現在位置を探してみる方法はある。それによると2人はそれぞれの自宅にいるようだった。
しかし、電話を持っていない可能性もある。
店の娘2人がそれぞれの家に向かったが、理沙は、
「あたし、車の動きで調べてみる。」
理沙と親しい客から、非公開であるものの、車の移動状況を追跡できる仕組みがあるらしいことを聞いたような記憶があった。
さっそく彼に電話して、マスターの車の動きを調べてもらうことにした。
「事情が事情なんで、あまり詳しくは話せないんだけど。」
理沙の表情を見て、彼もなんとなくわかったのだろう。手伝ってくれることになった。
デスクに戻ってみると、ママは誰かと電話で話をしているようである。
2、3分ほどでママは話を終えた。
「何をお願いしていたの?」
ママは大きく息を吐いて、イスにゆっくりともたれかかった。
「たぶん、車では移動していないと思う。銀行で全額お金をおろしているのはわかった。あとは銀行からどんな方法でどこに向かっているか調べてもらってる。」
そしてママは立ち上がった。
「さあ、行きましょう。」



逃亡(その2) 投稿者:理沙の旦那 投稿日:2004/04/13(Tue) 01:14 No.91  

その声を聞いた瞬間、油断して隙をつかれた気分になった。
さっ・・・と血の気がひいて、次の言葉が出てこない。
「とりあえず、みんなに電話してるの?」
幸子ママは小さくうなずいた。しかし、それ以上にまだまだ言いたいことがあるようだった。
「理沙・・・・・・。」そこで不気味な沈黙。
落ち着いて聞いてね・・・・・とママは前置きしてから、ゆっくりと、ひとことひとこと自分に言い聞かせるような口調で、
「店の口座に、お金がぜんぜんないのよ。給与振込みができないの・・・・・。」

大急ぎで身支度をして、家を出た。
画面の前でぼろぼろの表情のママの姿が、脳裏にこびりついて離れない。
<・・・これから行くから、しっかりするのよ、幸子・・・>
いつもは幸子ママと言っているのが、なぜか無意識のうちに幸子と言っていた。気持ちが自動的に友達として話すときの理沙に戻っていた。
どうしたらいい・・・・?しかし、考えても何もアイディアが出てこない。
店に到着した。そこにはオーナーもやってきていた。
すぐに幸子ママのいる事務室に入った。「幸子、大丈夫?」
マスターが昨日まで座っていたデスクに座って、電話の前で頭を抱えていた。
「理沙・・・・・れいなとも連絡がとれないの。」
ようやく顔をあげた幸子ママ。その顔からは血の気がすっかり失せていた。



逃亡(その1) 投稿者:理沙の旦那 投稿日:2004/04/13(Tue) 01:13 No.90  

いつもより30分早くに目覚める。
昨日飲み過ぎたせいか頭が重かったが、ゆっくりとベッドから起き上がり引きずるような足取りでキッチンに向かう。
壁面スクリーンのスイッチを入れる。
3分の1ほど残っているオレンジジュースのびんを持ってテーブルに座る。そしてコントローラーを操作して銀行の口座照会画面に切り替える。
現在の口座残高を表示。金額を見たときに飲みかけのジュースでむせそうになる。
明細を表示する。今日の記録のなかに給与の振込みはなかった。
やれやれ・・・・・・と理沙は心の中でつぶやく。
給与の振込みが午前中になかったことは、今までにも3度ほどあった。
しかし、最初の時は幸子ママに訊いて確認したが、そのときは間違いなく振り込んでいた。30分ほど待ってそのときは振込みを確認できた。
まあ、たいしたことはないだろうと思い、理沙は食事の用意でもしようかとキッチンに向かった。

それから5分後、食事の用意をしてテーブルに食器を並べると、再び残高照会画面を表示したが、金額は先ほどと変化なし。
また幸子ママに訊いてみようかと思ったそのとき、スクリーン隅の電話アラーム表示が点滅した。
画面を電話モードに切替えて、幸子ママからの電話だと確認するとスクリーン表示した。
「理沙、マスター知らない?」



変わらぬ気持ち(その10) 投稿者:理沙の旦那 投稿日:2004/04/13(Tue) 01:12 No.89  

次の日の開店前のミーティング。みんなの視線はママの右手の包帯を気にしていた。
しかし、その事に特に触れることもなくミーティングは終わり、それぞれが持ち場についた。

「どうしたの・・・・?」マスターは幸子ママを事務所に呼んで、さっそく右手の包帯のことに触れた。
「大丈夫よ、カウンターの食器を落としちゃって。」
それならいいんだけど・・・・・・と安心したマスターは机に座ろうとした。そんな彼の手を幸子は握りしめた。
「やっぱり、気分が落ち着かないと、つまらないことで怪我とかしちゃうんだね・・・・・それに。」
幸子ママはうつむいたまま、しかしマスターの手をしっかりと握り締めた。
「自分だけが大変だとばかり思っていて、あなたの苦労を本当にわかっていなかった・・・・・だから。」
もういい・・・・・というように、マスターは彼女の肩にやさしく腕をまわした。
「あと少しだから、なんとか2人で乗り切っていこうな。」

理沙はそのとき常連客とボックス席で話がはずんでいた。
すすめられて今日は客のボトルから頂いて水割りをいっしょに飲んだ。
あまりやらないことなので普段は緊張するはずなのだが、今日はなぜかリラックスした気分になった。
「じゃ、来年もよろしく〜〜〜。」
それはあと何日かで給料日だからなのかもしれない。



変わらぬ気持ち(その9) 投稿者:理沙の旦那 投稿日:2004/04/13(Tue) 01:11 No.88  

あたりの空気が凍りついた。幸子ママの視線が鋭い。
「理沙・・・・真剣に考えているのに、水を差すようなこと言わないでね。」
「別に、そんなつもりは。」
「だったら・・・・!」ママは勢いよく後ろにまわしていた右手を振り上げた、が、カウンターの上の食器類をひっくり返してしまった。
あっ・・・!と理沙は反射的に彼女の右腕をかばった。
しかしそこで身を引いてしまった幸子ママは背中で壁の棚のボトルを何本か倒してしまい、散乱した食器類のなかに彼女は倒れてしまった。
「大丈夫?」
いててて・・・・・理沙に支えられてようやく幸子ママは起き上がる。
右手には、割れたボトルで切ったのか血がだらだらと流れていた。
すぐに理沙は事務室から救急箱を持ってきた。そして右手の傷の手当てをする。
「大丈夫?・・・救急車呼ぼうか?」

タクシーでとりあえず医者に行き、腕の治療を終えたころにはもうすっかりあたりは朝の通勤時の騒々しい状態だった。
「ごめんね。変なこと言って。」
幸子ママは小さく首を振った。
「あたしも最近ぎすぎすしちゃって。ダメだね、もっとしっかりとしてみんなの面倒をみていかないといけないのにね。」
そしてママは理沙の肩に腕をまわしてきた。目はうっすらと涙で潤んでいた。



変わらぬ気持ち(その8) 投稿者:理沙の旦那 投稿日:2004/04/13(Tue) 01:10 No.87  

幸子ママに、昨日のれいなから聞いた話はできなかった。
いったい何が正しいのか、本当のところ、誰がどんな怪しい行動に出てもおかしくない状況。
「ありささん、ご指名です。」マスターから声をかけられて、ぞくっとしたが、気を取り直してフロアに出た。
途中で幸子ママとすれ違ったが、特に言葉を交わさなかった。

「ねえ。」
閉店後、幸子ママと2人だけになったとき、それとなく言った。
「もし、この前の話が本当だとして・・・・・。」
ママは口元をきっ・・・・とひきしめていた。そしてあたりを見回して自分たちのほかには誰もいないのを確認した。
「この店が、もし終わったとしても、あたしたちのこと雇ってくれるよね?」
「どうしてそんなことを聞くの?心配なの?」
「ううん・・・・・・ちょっと気になって。」
壁に手をかけて、ママは視線を再びしっかりと理沙に向けた。
「あんまりヘンなこと考えない方がいいよ。理沙。こっちだって悪いほうに事を考えたくないから。」
ママの気持ちがだんだんと苛立ってきているのが、その口調からわかった。
「それとも・・・・・・あなた、疑っていない?」



変わらぬ気持ち(その7) 投稿者:理沙の旦那 投稿日:2004/04/13(Tue) 01:10 No.86  

「あたしたち、年明けには仕事なくなるかもしれないよ」
胸がぐっと詰まった。
口に含んだコーヒーをゆっくりと飲み下す。理沙はれいなに言った「そんな、売上がけっこういいはずでしょ?」
しかし、笑い飛ばそうとしている理沙に対して、れいなは冷ややかに笑う「あんたものんきだね。マスターの最近の動き、見ているの?」
しかし、実際には事実を知っているから、れいなをごまかすのが難しかった。
あわただしく煙草に火をつけて、れいなは続ける。
「マスターと幸子ママ、もしかしたら夜逃げするかもよ。」
何言ってるのよ・・・・・・・再び理沙は本気にしていないそぶりを見せる。
「あとで後悔しても、あたし知らないよ。」

そんなれいなの言葉を思い出しながら、ようやく明るくなってきた窓の外を見つめる。
れいなを信じるつもりはあまりなかったが、内心かなり焦っているマスターが何をするかは全く想像できない。
コーヒーを半分残したまま、理沙はテーブルから立ち上がって勘定を済ませると寒い外に出た。
興奮した気分はまだまだ収まらないが、とりあえずは家に帰ろうと思った。



変わらぬ気持ち(その6) 投稿者:理沙の旦那 投稿日:2004/04/13(Tue) 01:09 No.85  

午前4時をまわったところ。
理沙は酔いをさますつもりで、あてもなく歩いていたら赤坂まで来てしまった。
官庁街は24時間電気がついている。
迎賓館のあたり、一番高いポールではためいている星条旗をながめる。
すこしはなれたところに立っている男から声をかけられたが、足早にその場を立ち去る。
そうして5分ほど早足で歩いていたが、家に帰る気分になれずに喫茶店に入った。
コーヒーを飲みながら、ぼんやりした気分の中で先ほどまでのことを思い出す・・・・・・。

珍しくれいなの方から誘われて、店が終わってから軽く食事をした。
理沙が店に入りたてのころは、まったく相手にもされなかったが、やがて店の娘たちも入れ替わり、
今では理沙よりも勤続期間の長いのはれいなも含めて4人になってしまった。理沙は1年と少ししか勤めていないのにもう中堅だった。
「理沙もなかなか稼ぐようになったじゃない?」
果たしてれいなが自分のことを認めてくれたのかはわからないが、お互いに緊張することもなく世間話などもするようになっていた。
「生活もかかっているし、お金も貯めたいからね。」
そしてたあいのない世間話を30分ほどした。やがてれいなは言った。「そういえば、あのね・・・・・。」
声のトーンを少し落として、「ヘンなことを聞いたんだけど。」
理沙は食事をする手を休めた。



変わらぬ気持ち(その5) 投稿者:理沙の旦那 投稿日:2004/04/13(Tue) 01:08 No.84  

一人で考えていても始まらない。
気がついたら、宙の一点をぼんやりと眺めていた。
幸子は立ち上がってマスターのいる事務室に入っていった。
「ああ・・・・・。ちょうど良かった。」マスターは顔を上げて幸子に何枚かの資料を手渡した。
「いくつか探しているけど、この辺の店なんかはどうかな・・・・?」
幸子はそれを受け取って、しばらく眺めていた。そして言った。
「ねえ、いつ言うつもりなんですか・・・・?本当のこと。」
机の上で手を組んで、マスターは少しの間考えていたが、
「まだ決心がつかないけど、まず次の店を決めて、それからだな。」
幸子はマスターのすぐそばまで近寄った。そして優しく肩に腕をまわした。
「いろいろと大変と思うけど、あたしも頑張るから。」
このまま抱きつきたかった。
しかし、その腕をやさしくつかんだ彼の手が、その気持ちを押しとどめた。
「新しい店に行っても、また頑張ろうな。」



変わらぬ気持ち(その4) 投稿者:理沙の旦那 投稿日:2004/04/13(Tue) 01:05 No.83  

そのあと、理沙と直子は2人で家路についた。
外の風は強い、コートの襟がめくれて顔に当たる。
「幸子・・・・本当にどうにもならないの?」
幸子ママは黙ったまま歩きつづける。風の音で聞こえていないのかと思い、もう一度話しかけると、
「考えがなかなかまとまらなくて。突然に店が終わりになって、それじゃあたしたちどうしたらいいの・・・・?でも、それじゃ済まないでしょ。理沙。」
2人は喫茶店に入り、ゆっくり話のできる奥のテーブルに座った。
「もしオーナーがどうしても店をたたむのなら、あたしはみんなを引き取ってどこかで店を始めようと思ってる。マスターとね。」
寒さで冷え切った体に、暖かいコーヒーがじんわりとしみてゆく。ママは大きく息をついた。
「こんな形で独立できるとは思っても見なかったけど、なんだか複雑な気持ちね。あとは・・・・・・。」
頬杖をついて、なんとなくうかない表情のママ「あの人の気持ち次第なんだけどね・・・・・。」
「頑張ろう。あたしも応援するよ。・・・・本当に好きなんでしょ?」

一日一日があわただしく過ぎていった。
昼間は同伴、夜は常連客のお相手。そしてそのあとも客との早朝のデート。
店が始まる前の待合室。女の娘たちのほとんどはソファで寝ている。
理沙は彼女たちを見ながら、店の現在の危機的状況を知ったら、果たしてどう反応するだろうかとふと思った。

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