どうやって明日から生活していこうか・・・という差し迫った問題に、幸子も理沙も悩んでいた。
幸子の場合、理沙と違って住んでいるマンションは買ったもので、しかも月あたりの支払いも理沙の場合のほぼ2倍あるのでなおさらだった。
「服でも売ろうかな?」と、彼女は笑っていたが、本当にそうでもしないと生活費すら手元には残らない状態である。
警察に足を運んだり、保険会社に行ったり、そしてさらには仕事探しまでかけもちで、一日はすぐに終わってしまった。
夜は条件のよさそうな店を自宅で探し、昼間は2人で手分けしてはそれぞれ事前に調べた候補の店に行く。
別に職種を選ばなければ仕事などたくさんあるのだが、家の支払いのことを考えると、そうもいかなかった。
警察から連絡があり、2人は面接を終えたその足でそのまま警察に行った。
「結論が出たようですね。」と、先日の担当者はあいかわらず他人事のように言った。
「で、つまりはですね・・・・・・。」
調査の結果、マスターとれいなは他人の個人コードを使って、その本人になりすまして生活していたということが判明した。
「でも、どうしてそんな判りきったこと調べるのに時間かかるの・・・・?」
そんな幸子の強い言い方にも、担当者はただ淡々と話す。
「先方のシステム管理者は、そんなことはないの一点張りでしたが、つい先日、先方から電話があって・・・。」
まあ、そんなものだろう・・・と、理沙もそばで聞きながら思った。
自分たちに不利になるような結論はなかなか出したくないのだろう。そして結論が出ても認めようとしない。
「結果が出ました。ある特殊な条件のもとでは、発生する可能性があるということがわかりました。」