「ごめんね・・・・・。」
理沙は彼のひざに手を置いて、いかにもけだるそうな声で、
「頭が朝からものすごく痛かったの。ずっとベッドで寝ていてようやく今日少し楽にはなったけど・・・・・。」
しかし、そのあとはいつもの沈黙以上に、2人の間には気まずい思いに似たいやな雰囲気がただよいはじめた。
30分後、他の客の指名で、理沙はテーブルチェンジした。
一人だけになった彼のテーブルを、理沙は時々心配して眺めていたが、やがて予想外に、その席にれいながついた。
別な客がなかなか帰らなかったので、理沙は元の席になかなか戻ることができなかったのだが、ふと元の席を眺めると、れいなと彼は意外と盛り上がっていた。
やがてステージに上がって2人は歌い、れいなとの話も盛り上がったところで彼は帰ることになった。
カウンターまで彼のことを見送る。
「ごめんね・・・・あとで電話頂戴。」
一緒にいられる時間が短かったので、その表情には不満の気持ちが。
理沙にはちょっと目をやっただけで、一緒に見送りにきたれいなに抱きついて彼は店を出て行った。