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− 連続小説掲示板 −

ここでは「理沙の物語」の詳細ストーリーを書いています。
なお、この掲示板は閲覧専用です。

最近更新が滞っていてすみません。。。。。(^_^;


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リスク(その8) 投稿者:理沙の旦那 投稿日:2004/04/11(Sun) 22:32 No.52  

「ごめんね・・・・・。」
理沙は彼のひざに手を置いて、いかにもけだるそうな声で、
「頭が朝からものすごく痛かったの。ずっとベッドで寝ていてようやく今日少し楽にはなったけど・・・・・。」
しかし、そのあとはいつもの沈黙以上に、2人の間には気まずい思いに似たいやな雰囲気がただよいはじめた。

30分後、他の客の指名で、理沙はテーブルチェンジした。
一人だけになった彼のテーブルを、理沙は時々心配して眺めていたが、やがて予想外に、その席にれいながついた。
別な客がなかなか帰らなかったので、理沙は元の席になかなか戻ることができなかったのだが、ふと元の席を眺めると、れいなと彼は意外と盛り上がっていた。
やがてステージに上がって2人は歌い、れいなとの話も盛り上がったところで彼は帰ることになった。

カウンターまで彼のことを見送る。
「ごめんね・・・・あとで電話頂戴。」
一緒にいられる時間が短かったので、その表情には不満の気持ちが。
理沙にはちょっと目をやっただけで、一緒に見送りにきたれいなに抱きついて彼は店を出て行った。



リスク(その7) 投稿者:理沙の旦那 投稿日:2004/04/11(Sun) 22:30 No.51  

電話が鳴っている。
理沙はベッドの上で寝返りをうった。しかし電話口までは行かずにごろりと横たわったままである。
<・・・ただいま外出しております。メッセージをどうぞ・・・>
そして、ためらうようなしゃべり方で、男の声が。
<・・・昨日連絡した場所で待っています。・・・>
理沙はそれを聞きながら、ふぅ・・・・と小さくため息をついた。

夕方、理沙はようやく外出した。
それまでの時間に留守番電話には10件以上のメッセージが、もちろんその全てが理沙に入れ込んでいるあの男からだった。
理沙はその日は、他の客と夜遅くまでつきあった。
食事をして、映画を見て、さらにはショットバーに入って。そのため家に着いたときにはもう日付が変わっていた。
家に帰ってから、いつものように留守番電話の記録をチェック。
男からの電話は出かけた後にも10件ほどあった。最後の記録は夜の8時半。
なんだかんだと彼には10時間も待たせたようだった。というか彼があきらめが悪いというのか。

次の日、店が始まって1時間半ほどして彼は店にやってきた。



リスク(その6) 投稿者:理沙の旦那 投稿日:2004/04/11(Sun) 22:29 No.50  

深入り・・・・・?その言葉に理沙の心の奥底で、スイッチが入った。
「れいなは、どうなの?」
言ってしまって、まずい・・・・と思ったが、そんな気持ちを表情に見せずにじっとれいなの顔を見つめる。
そうね・・・・・と前置きしてから、れいなは、
「楽しませるのが商売だものね。あとは・・・・・。」
そして、理沙の肩に軽く手を置いて、「自分でどこまでリスク管理できるかだよね。」
そう言い残すと、フロアに戻っていった。

今日も男は11時過ぎにやってきた。
「明日はまた金曜日だね、1週間は早いよね。」今日は軽いノリで理沙は彼に対応した。
そうだね・・・・・と彼もこたえる。そしてそのあとはまた2人だけの時間が始まる。
れいなの言葉が気になって、今日は自分から話題を作ろうと思った。
ねえ・・・・・・と理沙が話し始めようと思った矢先、彼の方が口を開いた「ありさ・・・。」
彼は理沙の目をじっとみつめている。
「次の休みのとき、つきあってくれないか・・・・・・会ってほしい人が・・・・。」



リスク(その5) 投稿者:理沙の旦那 投稿日:2004/04/11(Sun) 22:28 No.49  

店の隅のボックス席。
理沙は今日もその中間管理職の男と席をともにしていた。
このところ、2日に1回のペースで彼は店に通いつづけている。よくもまあ続くものだと、店のほかの娘からもうわさになっていた。

特に何を話すわけでもなく、
理沙も彼の脇にぴったりと寄り添って、時々グラスについた水滴をハンカチできれいにぬぐっているだけだった。
そして何もせずに、時々食事を注文して、理沙と2人で食べる。
理沙に他の客がいないときなどは、そのまま最後のラストダンスまでいっしょということもたびたびで、
4、5時間のけだるい時間が2人の間には流れていた。

店が終わって、更衣室に店の娘たちは戻ってゆく。
あまり言葉を交わすことのないれいなが、なぜか理沙に声をかけてきた。
「気になるんだけど・・・・・。」ロッカーの前で2人で並んで立ち話になった。
あの客に深入りしても、ろくなことにならないよ・・・・と、れいなは理沙に淡々と話し始めた。
不思議なことに、いつものれいなの高慢さはまったくなく、心から心配している気持ちがその言葉からなぜか感じられたのだった。



リスク(その4) 投稿者:理沙の旦那 投稿日:2004/04/11(Sun) 22:28 No.48  

「ねえ・・・・・。」
ディスプレイの向こう側の、寝ぼけ眼の男に向かって言った。
「すごく気持ち悪いなぁ、結構飲んじゃった。」
おいおい・・・・そんな話に付き合っているひまはないんだよなぁ、と男の表情は不機嫌極まりないといった様子。
しかし、理沙はテーブルに頬杖をついて「こんな格好、だらしないよね。」と男の気持ちをさらにじらす。

どんなに眠かったとしても、そしてどんなに迷惑な電話だったにしても、彼は決して怒ったりはしないだろう。
理沙にはよくわかっていた。

「また週末も休むつもりなんだけど、どうする?」
その日、ちょうど会社のお昼休みの時間帯に、理沙は再びその中間管理職の男に電話した。
「また、家に来る?・・・・・・そして夕方は食事して。」
「つまんないな。」
理沙のわがままに、彼はちょっと困惑した表情になったが、
「じゃ、近くの海岸までドライブとか・・・・・。」
しかし、理沙は静かに首を振った。



リスク(その3) 投稿者:理沙の旦那 投稿日:2004/04/11(Sun) 22:27 No.47  

例の中間管理職の男と、店の外で待ち合わせした。
今日は、彼と2人だけで朝から夜まで共に過ごすスケジュールになっている。
朝8時、休みの理沙の家の近くまで、彼は車に乗ってやってきた。

「今日は、本当に一日大丈夫なの?」彼は少しばかりの疑いの目で見つめる。
「もちろん大丈夫よ、心配・・・・・?」
理沙のそんな軽い一言で、彼の攻撃を軽くかわした。

1時間ほど走って、2人は彼の自宅に着いた。
静かな住宅街の中に、彼は1戸立ての家を持っていて、一人で住んでいる。
高級家具を揃えている部屋を、彼は案内していった。
ふぅ〜〜〜ん・・・・と、いかにも関心をもっているように、理沙はそれらを舐めるようにして眺めていった。
「これ・・・・全部あなたが買ったの?」
自慢したい気持ちと独占欲、彼の表情にはそれだけしか見えなかった。



リスク(その2) 投稿者:理沙の旦那 投稿日:2004/04/11(Sun) 22:26 No.46  

れいなと幸子とは、4歳の年の差がある。
彼女は幸子より2年前にこの店に入った。そしてその当時からトップを他の娘と争っていた。天性のホステスの風格が常にあった。
それに対して、幸子はどちらかといえば素人に近い状態でこの店に入ったので、その当時は、れいなとは全く勝負にならなかった。

しかし、ナンバーワンのホステスがいずれママになれるかといえば、必ずしもそうともいえない。
幸子は確かに素人っぽさ丸出しの、どちらかといえば不器用な娘だったが、他の娘達との協調性、そして場を盛り上げる雰囲気作りでは、
れいなよりもずっと勝っていた。そしてトップになることは一度もなかったものの、ついにマスターやオーナーからママに抜擢されたのだった。

「れいな・・・・なんか気になるな。」理沙はキッチン脇の狭い通路で幸子に言った。
「あら・・・・・。」幸子は軽くハハハ、と笑ったが。
「そんな、ずっと前から気がついていたよ。」
その目は全然笑っていない。鋭い眼光が気になった。
「でもね、そんなこといちいち気にしていたら、やっていられないよ。あの人だってそんな禁じ技使うわけないしね。」
2人は再びフロアの客のもとに戻っていった。



リスク(その1) 投稿者:理沙の旦那 投稿日:2004/04/11(Sun) 22:25 No.45  

・・・・結婚しよう・・・・・。と男は言った。
理沙はその腕に抱かれながら、しかし、返事ができない。
胸いっぱいの嬉しさを感じているのに、声が出てこないのである。
・・・・どうしたの・・・?理沙・・・・・。
腕が宙をまさぐっている。そして、理沙の体が何かにぶつかった。
彼女はベッドの上から転げ落ちていた。そして鼻の頭を強打していた。

重い気分のままで、理沙はその日も普段どおりに出勤した。
れいなが開店ぎりぎりに出勤してきた。「おっはよー。」そして慌しく控え室に入ってゆく。
それから数分後に、マスターがやってきた。
カウンター席でスタンバイ状態のメンバーの娘達の前に立ち、いつものように開店前のミーティングが始まる。
れいなが控え室から出てきたところで、マスターは話し始めた。
ママも事務室から出てきた。そしてなぜかマスターから少し離れたところに立って、彼とは目を合わせないようにしていた。
いつにない緊張感が、ミーティングの場に漂っていた。



ありさという源氏名の謎 投稿者:理沙の旦那 投稿日:2004/04/11(Sun) 22:25 No.44  

まだ、理沙が幸子ママの店で働き始めたころ。

ママ:「源氏名決めないとね・・・・あ〜〜〜」
理沙:「何にしたらいい?」
ママ:「あ〜〜〜・・・・理沙。」
理沙:「う〜〜〜〜ん。」
ママ:「あ〜〜〜理沙、あ〜〜〜〜理沙、あ〜〜〜〜りさ。・・・・・ありさ!」
理沙:「・・・・・・・(^_^;」



ささやかな夢(その6) 投稿者:理沙の旦那 投稿日:2004/04/11(Sun) 22:24 No.43  

春になって、気分もだんだん開放的になってくる。
桜の咲いている家の近くの公園から、東京湾を眺める。
遠くはるか向こうに、小さな島が見えている。建設中のスペースポート。
3年後にはシャトルが定期的に宇宙に飛んでゆくらしい。

理沙と例のクラブのバーテンとは、音楽の話をする機会が多くなってきた。
店では時々好きな曲をかけてくれるようになったり、朝方には一緒に彼のアパートに行くこともあった。
そんな2人の状況を知ってか、幸子ママも仕事のあとクラブに寄っても、理沙の隣の席に座ることは少なくなってきた。

「ねえ、ありさちゃんはお金たまったらどうするの・・・・?」と客から突然尋ねられた。
そうね・・・・と理沙は少し考えてから、言った。
「本土(アメリカ合衆国本土のこと)に行って、綺麗な家にでも住みたいね。」

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